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2009.11.10

Tjaarda Design訪問

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順序が逆になってしまったが、先のTORINO半日観光の午前中はTjaarda Designを訪問した。本当はこちらが目的でTorinoを訪ねたのだった。

日曜日の早朝Milanoを出発する。知人と待ち合わせた後、典型的な冬の北イタリアを思わせる霧の中、これから会うことになるTom Tjaarda氏とどんなことを話そうか?と些か緊張、興奮しながらTorinoへクルマを走らせた。

Torino Porta Nuova駅からほど近い中心街の一角、約束の時間に彼のスタジオを訪問すると、日曜日にも関わらずTom Tjaarda氏は優しく我々を迎え入れてくれた。

このblogを訪れる方はご存知かもしれないが、改めてTom Tjaarda氏のことを簡単に紹介しよう。「Tom Tjaardaのデザインは?」と聞かれて一番有名なのは、やはり70年代スーパーカー時代にデザインしたDeTomaso Panteraではないだろうか?そのためかTjaardaというとDeTomasoという印象が強く残っている。しかし、Tjaarda氏はそれに留まらず、これまでに素晴らしいクルマを多くデザインして来ている。

現在でこそPasadenaのArt Center Collegeなど自動車デザインの学校があるが、Tjaarda氏の学生時代はそんなものは存在しない頃。当時、自動車デザインに従事していた人たちは皆建築を学んでいたようだ。例に漏れず氏もデトロイトで建築を学んでいたのだが、クルマ好きが源となって授業のプログラムでSports Station Wagon Modelを製作した。スポーツワゴンなどという言葉やコンセプトなどは当然のごとく存在しない時代の話である。大学指導教授がTjaarda氏が製作したそのモデルカーをGhiaに紹介したところ、凄く気に入られ1958年にイタリアに渡りGhia入りすることとなる。

その後は、Ghia-Pininfarina-Ghia-FIATなど名門デザインCarrozzriaなどを渡り歩き多くの車両をデザインしてきた。僅かな代表的な作品をあげるだけでも、Ghia DXG Dragster, Renault Dauphine, Karman Ghia, Innocenti 1100, Chevrolet Corvair PF coupe, Corvette Rondine, FIAT 2300 PF Lausanne, Lancia Flaminia PF Coupe, Ferrari 330GT 2+2, Mercedes 230SL PF, FIAT 124 PF, Ferrari 365GT California, Isuzu Bellet MX1600GT, Lancia Fulvia 1600HF Competizione, DeTomaso Deauville, Pantera, DeTomaso-Cosworth F1, Isuzu Bellett Sports Wagon, DeTomaso Longchamp, Lancia Y10などなど、多くの個性的であって、それでいて有名なクルマばかり。本当に「あれも!」「これも!」と驚かされるばかり。これだけに限らずもっと多くのカーデザインを提案してきたのだから氏の想像力は本当に無限大。1984年にDimension Design(現在のTjaarda Design)という個人スタジオを立ち上げた後にも多くのデザインを手がけ、現在も精力的にデザインを提案している。


先に述べた通り、氏はTjaarda Designというデザイン事務所を主催し、様々な企業とタイアップしながら仕事を進めている。70歳を超えた現在も非常にアクティブで氏曰く「95歳まで働く!」とのこと。

丁度我々が訪ねた前週も、中国でのデザインカンファレンスを終え帰ってきたばかり、また中国ではたまに学生への授業を行っているということだ。偶然、今回の中国出張では授業題目が与えられず、「History of Tom Tjaarda」という題目でご自身のクルマ史を講義してきたということ。

なんともラッキーなタイミングで、その資料を使ってTjaarda氏から「Tom Tjaardaのデザインヒストリー」を伺いました。気分はまさに学生か? しかし、これこそが我々の望むこと、なんと贅沢なことか!


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学生時代のSports Station Wagon Modelを手に説明してくださる。
このModelのサイドラインは、後年のPininfarina時代の作品に数多く登場することとなる。学生の頃からの理想であったカーデザインをイタリアで実現したことが垣間みれた。


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授業で使われたスライドがこのようにプレゼンテーションウォールに添付され、一目で彼の功績を追うことができる。圧倒的な迫力で思わず口元から笑みがこぼれる。


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講義をきく聴講生の気分!(→学生に逆戻りした私!)


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Ferrari 365GT Californiaのデザインスケッチ
エレガントな弧を描くサイドラインに対して、リアには力強いマスキュラーな造形。Tjaarda氏は、「スポーツカーはエレガントであって力強くなければいけない」との信念を持っており、この375GTSをはじめRondineなどのリア造形ラインの解説では腕に力こぶを作るような格好を! その光景と力強いリアエンドはまさに相似形!
ちなみに、彼の代表作のひとつであるCorvette Rondineは現在PFにあらず、数年前のオークションでミリオンカーの仲間入りを果たしコレクターの手にあるという。


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これは有名なDeTomaso Panteraのデザイン原案の一部
力強く疾走するPanteraそのものからのアイデア。


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数々のTjaarda作品
氏は、現在でも一番最初は製図板でラインを描き、それをスキャニングしてCADデータとする。部屋の一角には現役のドラフターが置かれていた。

デザイナー本人から、カーデザインの想い、まだそれぞれのデザインの意味を説明されると、帰る頃にはいつも虜になっている私がいる。今回もまたTomTjaardaの大ファンになってしまった。


Tom Tjaarda氏と過ごした時間は、まさに夢のよう、本当に心地よい幸せな日曜日の午前中であった。
GRAZIE MILLE!!

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Comments

marcue様
Ford Ghiaにいらした頃の精悍さは無くなりましたが、お優しそうなまなざしに変わっていますね。お父様のジョン.チャーダ氏は、かなり個性的だったのに、ご子息のデザインは上品で控えめなデザインでした。彼のデザインは、ジウジアーロに無い品格があり、これはお育ちが影響していると思われます。marcueさんが、おっしゃられるようにチャーダ=パンテーラと一般には映るようですが、私はPFにいらした60年代の作品が彼を表していると思います。ランチアフルヴィアHFをプラットフォームに使ったプロトがありましたが、なかなかきれいでした。

学生時代に作られたと言うステーションワゴンは、なかなか進んでいましたね。DXGドラッグスターは、独特なバランスで、チーターがまねたのではとおもうほど。

私はやはり、ロンデイーヌが一番好きですね。あのクリフカットの最初の方が好きです。marcueさんは貴重な体験でしたね。羨ましいです。

Posted by: 大内 誠 | 2009.11.09 at 21:19

その節はありがとうございました。
生涯現役、
まだまだ想像力に満ち溢れているのですねっ!

Posted by: tombo | 2009.11.10 at 21:32

大内さん
とても優しい方でした。デザインも上品ですね、私はそれをPFの頃の作品に感じます。RondineをはじめCorvair, Ferrari 330GT, 365GTなど、とても好きな作品です。あのMercedes PFも氏の作品なのですね。
学生時代のステーションワゴンは今でも美しいと感じますね!


tomboさん
ご無沙汰しています。 
そう! 話していて、その活動的な雰囲気が伝わってきます。しかし、やっぱり上品なんです。作品は人を表しているんですね。

Posted by: marque | 2009.11.11 at 02:27

 自動車デザインについて講義を受け持つ身として、とても参考になりました。欧州での生活、いつかは実現させたい夢のひとつです。

Posted by: moriwaki | 2009.11.11 at 11:05

moriwakiさん
講義とは、自動車デザイン専門の講義なんですかっ! まさに昔は存在しなかった題目ですね。
欧州生活の醍醐味は、クルマに限らず、食、旅行、趣味、全ての距離が近いというところかなと感じます。私もこちらにいる間に満喫したいと思っています。今回も友人の希望で、このような機会がないと行けないのですが、私も大満足な一日でした。

Posted by: marque | 2009.11.11 at 17:05

何とも羨ましい体験!
僕もこんな機会があったなら何時間でもいたいです。

「当時、自動車デザインに従事していた人たちは皆建築を学んでいたようだ。」
・・・建築を学んだ僕もまだカーデザインに夢が残されていたのか!?(笑)

Posted by: F105L | 2009.11.11 at 23:14

F105Lさん
楽しいひとときでした。以前にVilla d'Esteを訪ねたときに会いしたことがきっかけとなりました。先にも書きましたが何でも距離感が近いところが本場のいいところかもしれません。
そうそう考えてみれば当時は自動車デザインなんてなかった訳で、皆建築を学んでいた。Tjaarda氏は授業の中に好きなことをしていいというプログラムがあり、それがGhia入りのきっかけとなったモデルカーだそうです。
皆さんで訪ねたら、ずっと質問だらけになりそうですね

Posted by: marque | 2009.11.12 at 01:52

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