Natale 2009 a Modena
2週連続のModena行き、おそらくこれが今年最後になるはず
その目的はMaserati Club主催の"Pranzo di Natale"
2年連続(1, 2)で1時間もの遅刻をしているので、今年は定刻到着を目指したものの50分の遅刻。結局全く進歩が感じられない、困ったものです
昨年の同じクリスマスパーティー以来なので丁度1年ぶりのCiro Menotti。1937年から続くModena街中のファクトリー訪問だけは、何度訪ねてもいつも特別で新鮮な気持ちになる
大幅に遅刻したため、ショールームを見る暇もなくファクトリーツアーに出発。案内役はいつものSig. Giorgio Manicardiでなく、昨年にもお世話になった彼。Giorgioにおみやげを準備してきたので、個人的にはちょっと残念。
ツアー中は説明に耳を傾けたり、顔見知りの知人らと互いの近況報告をしながら楽しいひと時。この時に外国からいらした方に聞くと、ほとんどが複数台、幾人かは10台以上を所有するMaseratiオーナー。パーティーのためにModenaに来るくらいだから、その情熱は筋金入り!真のMaseratistaなんです!!
現在のCiro Menotti工場は完全にアッセンブリーライン。エンジンはMaranelloのFerrariから、ボディーはTorino、ペイントはMaranelloとエンジンも作っていなければ、数年前まで行っていたFerrari製エンジンのテストも行わなくなってしまい、少々拍子抜け。しかし、ラインにはQP, GT, そして新しいGranCabrio, AlfaRomeo 8C Competizione Spider, そしてGranTurismo Trofeoまでも流れていた。中でもGranCabrioは正式なものでなく未だプリプロダクションモデル、またレーシングカーのTrofeoまでがラインの上で造られていたのには驚いた。Trofeoは本当にCOOL!!
ファクトリーツアーを終えてショールームに戻ると、なんとお宝を数多く発見!
これまでファクトリー内の所々に置かれていたMaserati兄弟時代のMaseratiエンジンがショールームに場所を移動し飾られていた。これまで写真撮影できなかったので、ここぞとばかりカメラに収める。
これこそがMaserati GTカーの原点、A6Gシリーズのエンジン
先にも書いたように、このエンジンを積むMaserati GTが個人的な憧れですが、 A6やA6Gをいずれ手に入れることが出来る日は訪れるのであろうか?
8CLのとてつもなく大きいエンジン
1930年代、既に気筒あたり4バルブを持ち、さらにバルブあたり1つの排気管を持つ超高性能エンジン(写真から様子がご覧いただけると思う)。ふたつのスーパーチャージャーで加給され、もの凄いパワーを絞り出した。ところがヨーロッパのレーシングシーンでは、その大きく重いエンジンが逆に足かせとなって動力性能を落としてしまった。その反省をふまえて、ヨーロッパのサーキットレースでは後に4気筒、軽量な4CLが登場することとなる。
ところがヨーロッパでは重すぎたエンジンも、それが逆に利点となる戦場があった。アメリカの伝統、Indianapolis 500マイルレースである。ハイスピードで連続走行を強いられるオーバルレースでは、その重量級エンジンがマシンの安定性を生み出し、8CLの発展改良版である8CTFが1939, 1940年とW Shawの手によりIndianapolis 500を制することになる。
これこそがMaseratiの名が初めてつけられたTipo 26のエンジン。
Tipo 26のエンジンは幾度か排気量を大きくしながら、Targa Florioなどで大活躍する。先ほどのA6GがGTカーの原点なら、こちらはMaseratiそのものの原点である。
4CLTのクランクシャフト
先ほど紹介した8CLの反省をふまえ登場した4CLの発展改良版が4CLT。このマシンは戦前のレーシングシーンで旋風を巻き起こすほど速かった。まさにMaseratiの栄光を世間に知らしめたエンジンでありマシンであった。
忘れてしまいそうなのでショールームの写真を1枚
Vidafone MC12 Corsa, QP V, そしてクリスマスツリー
遅刻が元凶か?なぜか時間に追われるように、ランチパーティーが行われるレストランに場所を移す。
ここレストラン前では、Maserati社公認クラシックカーであるRegisto Maseratiの車検会場となっていた。
この認定に携わるのは、Maseratiを全て知り本社のクラシック部門を管理するSig Ermano Cozza。その隣にはJM Fangioが操るRacing Maseratiをメンテナンスし、現在はクラシックMaseratiの巨匠、Sig Giuseppe Candini。こんな凄いツーショット!
会場入り口には、2010年、2011年のInternational RallyのホストとなるSweden, Austriaからの広告。これもなんとも可愛らしい!
パーティーの中央には昨年と同様に、Don Sergio Mantovani, Sig Ermano Cozza, Dott Adolfo Orsi, Dott Carlo Maserati, Sigra. Maria Teresa de Filippisら。
なんとも凄いテーブルである。
たまたまテーブルで一緒だった方がOSCAのオーナーで、このふたつのエンブレムについて皆で議論。公式には左のOSCAが上方にくるものだが、右のMASERATIが上にくるものもあると・・・互いに蘊蓄を語り合う。
結局、回答は見つからないので、たまたま我々のテーブル近くを通ったDott Adolfo Orsiに質問した。すると「Carloに直接聞けば?」という。
そこで中央のテーブルまで出向いて、Dott Carlo Maserati直々に、OSCAエンブレムデザインについての経緯を伺うことになった。私自身もその時初めて知ったことで、OSCAエンブレムをデザインしたのは、その経緯を説明してくださるDott Carlo Maserati、まさにその人ということ。何とも貴重な経験!
結局、正式には一般的に知られている左のもので右は?ということだったが、既知のことであったりしても、直々に話して頂いたことは、Maseratistaにとって忘れがたい思い出となった。
今年はひとりででかけたが、全く勉強していないイタリア語も簡単な会話は聞き取れるようになり、いろいろな方と話すことができた。とてもよい思い出ができた大満足なNatale di Maseratiだった。
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Comments
Bon Natale
Maseratistaにとっては最高にステキなNataleを過ごされましたね。
以前クラブメンバーだったとき、まだEメールが一般的ではなかったのでFAXでしたが、いきなり「今度の週末にパーティ開催」という案内が届いたのを思い出しました。あのときはとっても残念な思いをしたことが懐かしいです。
Cozzaおじさまもお元気そうで何よりです。
Posted by: topo | 2009.12.16 10:29
marcue様
エンジンが単体で見れる!。いいですね。飾り付けもしゃれている。
あの白いペダルカーみたいなのは???。
ツインエンジンなんて、ありましたね。
小さなV12も、見たいですね。
Posted by: 大内 誠 | 2009.12.16 17:56
marqueさん
こんばんは。
何っぬ・・・
>GranCabrioは正式なものでなく未だプリプロダクショ>ンモデル、またレーシングカーのTrofeoまでがライン>。の上で造られていたのには驚いた。
↑
これってまさかショートホィールベースのCabrioなんて
あったのでしょうか・・・?
しかしながら、Maserati史の生き字引のVIPの方々とお会いできるなんて、ホントに凄いですね・・。
私がこんな会場に居たら、とっくに気絶しております。
Posted by: RYU | 2009.12.16 23:00
topoさん
コメントありがとう。
topoさんがメンバーの頃とは親会社の変更もあって、本国のMaseratiClubも組織が新しくなりました。その頃のメンバーカードも貴重ですし、その頃のグッズは今や入手不可能なお宝グッズです。
実は昔のバージョンのRegistoMaseratiピンバッジやプレートは、私も憧れです。
このRegistoMaserati、私も登録したいのですが、大きな問題は車両をModenaまで持って行かなかればならないということ。他の国まで出張査定してくれないものでしょうかねぇ〜!?
Sig E Cozzaも元気で、いつもMCJに惜しみない協力をいただいてます。
大内さん
そうなんです。今回の驚きは伝説のMotoreがショールームに移動していて、自由に写真が撮れるようになっていたこと。
これまではラインの側に置かれ「伝説のエンジンとともに作られる現在のマシン」なんて言っていましたし、何度も目にはしていても写真が撮れないのが難点でした。実は小さな横置きV12、Motore Tipo8はライン側の薄暗いところにあります。これもショールームに持って来てくればいいのですが・・・
白いペダルカーは特に意味はなし。
ツインエンジン・・・って AlfaのRLではなかったでしょうか?Maseratiにもありましたっけ??(自信ありませんが・・・)
RYUさん
真のMaseraistaゆえ、過剰な反応ですね! Buono Buono!!
GranCabrioは発表されたもののデリバリー前で、試乗会もまだのはず。正式デリバリー前の車両がプリプロダクションモデルで、試乗会用、またラインに乗る前の工員トレーニング車両という訳です。
ただし、、、ここからが問題! 例年、この時期には最終仕上げブースにデトロイトショー用の車両が置いていあるのですが、今回は案内もなくNG。そこになにかあったりして・・・(勝手な妄想ですけどっ)
Maseratiの生き字引>今年は、CarloMaseratiさんが昨年お話ししたことを覚えてくださっていて、もう少しお話ししました。自動車趣味人にとって、記憶に残る1ページでした。
RYUさんも是非、いらして一緒に気絶しましょうー(笑)
Posted by: marque | 2009.12.17 05:59
marcue様
マセラテイのツインエンジンは、Tipo V4セデイーチチリンドリ。1929年に一台だけ作られました。最近レストアされた写真を見ましたよ。あの頃はFiat806のツインヘッドとかパワーヲーズでしたね。ドライバーは恐怖の何者でもなかったと思います。
Posted by: 大内 誠 | 2009.12.17 10:46
大内さん
コメントありがとうございます。
V4, 16気筒エンジンはクランクシャフトが2本で、その後のケーシングで出力を一本にするんですね。詳しく知りませんでした。
このメカニズムは後に登場するV5へ引き継がれたようです。実は2年前にFioranoで行われたイベントに、そのV5がきていまして、エンジンルームをはじめ走行する姿を見ることができました。あのクルマが最高速200km/h以上ですから、その時、私も恐ろしいと思ったものです。一見、ボディーもエンジンも大きく重そうなので、とても200km/h以上の速度が出るようには見えませんでした(笑)
AlfaRomeo RL(ちょっと車名に自信なし)は、まさにエンジンふたつ、ドライブシャフトも2本存在しリアに伸びてゆきます。凝ったメカニズムでした
Posted by: marque | 2009.12.17 18:12
ビモトーレですよね?。あれは描いてみたいですね。ドニントンにあるので、ドニントンへ行く方法を何とか考えなくては。
来年のレトロへ来てると良いのですが。
Posted by: 大内 誠 | 2009.12.17 19:10
私の大勘違い。
AlfaRomeo Bimotoreですね。
Museoにカットモデルがあったと思います。
Posted by: marque | 2009.12.17 20:04
毎年、この記事にコメント書いている様な気が。。。
しかも、毎年「凄いっ!凄いっっ!!」を連発している様な気が( ̄▽ ̄;
僕もいつかは・・・。
A6GCS Berlinettaが欲しい...けどぉ。。。ムリっ。
相変わらず、凄い面々のテーブルですねぇ。
それに加えて、今年は・・・。
O.S.C.Aエンブレムをデザインをした、その当人にお聞きする事が出来たとは。
ホント、何と言う事でしょう。
僕もその場にいたら、RYUさん同様確実に卒倒しちゃいます(爆)
ビックリしたのは。
Trofeoも普通にラインに流れている事実。
感心、なのか・・・残念、なのか・・・複雑?!
それにしても。
判っていたつもりですが、こうして文字にして読むと。。。
既にMaseratiの工場は組み立てのみと化している。
しかも、エンジン・テストさえもされていないとは(驚)
改めて、寂し限りですな。
あ。
今年のツリーは、Tridenteじゃないんですね。
Posted by: ghie | 2009.12.18 11:23
ghieさん
毎年書いて、毎年コメント感謝しています。
A6GCS、サーキットでも速いんですよ! 憧れです。
凄いテーブル>Orsiさんは「日本の素晴らしいイベントに参加してきたばかり」とスピーチしていましたよ。楽しまれたようでした。
Trofeoもメカニズムは同じなのでラインなんでしょうね。しかしきっちりとボディーはロールケージが組まれて戦闘的なたたずまいでした。
数年前まではferrari製のエンジンをCiro Menottiでベンチテストしていましが、後に優秀なエンジンゆえ効率を考えしなくなったと聞きました。しかし、組み上がった後は50kmの公道テスト。こればかりは大量生産メーカーでは真似できず、プレミアムブランドの真骨頂です。ghieさんのクルマもCiro Menottiでくみ上げられたばかりか、ModenaもAutostradeも走っていると思いますよ。
Posted by: marque | 2009.12.18 19:17